連載期間
月刊コロコロコミック1983年10月号~1984年3月号に掲載された作品(全6回)。
タイトルが「プラモ戦士イサム(83/10)」「3Dバトラープラモ戦士イサム(83/11,12)」「プラモ戦士イサム(84/1,2,3)」と変化している。
コミックス化はされていない。「戦士」の読みは「せんし」。
岩田和久 - Wikipedia
https://www5d.biglobe.ne.jp/m_yokko/83h.htm=BEN’S HP コロコロコミック資料編 83年本誌
https://www5d.biglobe.ne.jp/m_yokko/84h.htm=BEN’S HP コロコロコミック資料編 84年本誌
作品概要
月刊コロコロコミック掲載の漫画:岩田和久・原作:岸川靖によるプラモバトル漫画。
プラモ狂四郎(ボンボン1982年2月~)の後追いで始まったプラモ天才エスパー太郎(斉藤栄一、コロコロ1983年4月号-1984年8月号)を原作なしのストーリー漫画とした結果、プラモ漫画ではなくエスパー漫画となってしまった為[定本コロコロ爆伝!!p.245(転載元:リラックス2003年4月号の斉藤氏のインタビュー)]、同ジャンルではあるが後追いで連載になったのではないかと思われる。
狂四郎もプラモネタについては原作のクラフト団あっての事だったので、こちらにも原作に岸川靖氏が付いたのは当然の流れと言える。
岸川靖 - Wikipedia
当初から主人公がオリジナル改造プラモを使う&作中で作例の掲載ありというのは
狂四郎のオリジナル改造ガンダムことパーフェクトガンダム登場(83年2月~)を意識しての事だろう。
この方向性は後の「プラモウォーズ(ボンボン1994年12月号~)」「プラモ改造武闘伝 ガン☆キッド(コロコロ1995年6月号~)」に通じる点がある。
ただ残念なことに、作例があるにもかかわらずカラーページを貰えておらず(カラーのプラモ記事はマクロスだけ)盛り上がりに欠ける…。
この連携不足が非常に惜しい作品である。
システム
「3Ⅾメーカー」と言う機械にプラモをセットするとデータがスキャンされ、「3Dカード」と呼ばれるものが発券される(つまりプラモが壊れない仕様の第一号作品?)。
その「3Dカード」を対戦装置のコクピットにセットすると、プラモが3Ⅾビジョンにホログラム投影され動かすことができる。
対戦フィールドは3Ⅾジオラマと呼ばれ、プラモと同じく3Ⅾビジョンに投影される仕組み。
バイクを使うとバイク型にコクピットが変形してプレイヤー自身も投影されるなどオプションがある。

ストーリー
1話:主人公のイサムはイベント会場で3Dバトルの会場を目撃する。そのバトルの勝者、小山田ミミが挑戦者を募集し、イサムが名乗りを上げる。友人にレクチャーを受け対戦を開始、イサムはミミのプラモの身軽さから装甲に弱さを見抜き攻撃するものの、プラモが(不完全で)自壊して負けてしまう。それでもミミは「あなたのような戦士(ファイター)をさがしていたのよ。」と言いタッグを組んで3Ⅾバトルの選手権に出る事を提案する。翌日、ミミの家に招かれたイサムは自宅の対戦装置を見せられ、大会規定の第二次大戦機で明日バトルすることとなり、イサムはゼロ戦を作ることにした。イサムは翌日の4時半に押しかけバトルを始める。ステージはニューヨークの高層ビル街、ミミはムスタング(ロケット弾装備)を使用、イサムはドッグファイトをかけるが背後から攻撃を受け急降下、持ち直すも追撃を受けコントロールを失う、イサムは底力を発揮し、ビルの隙間を抜け奇襲に成功。墜落するムスタングを胴体で受け止め大会出場を誓うのだった。
2話:第13回全国3Ⅾバトル大会に出場したイサム・ミミのチームは順調に決勝に進出(1対1なので戦うのはイサムのみ)、ゼロ戦対メッサーシュミットの戦いとなった。速度でかなわない相手だったがタンクに仕込んだロケット弾による至近距離の攻撃で勝利、優勝するのだった。すると日本最高のプラモクラブ「マスターズ」の入会資格を与えるというメッセージが届く、後日招待状が届きイサムは使うプラモに悩むがミミの提案でブルーサンダーを完成させる。指示された場所に向かった二人は指示され対戦を開始、ステージはジャングル、相手はバルタン星人だった。キャノン砲が効かず、攻撃を回避する為に森林に突っ込むイサム、ローターが木を切り裂き墜落は免れる、ウルトラマンに助けを乞うイサムだったがそれにより劇中の倒し方を思い出し、ローターを使ったイサム式八裂降臨で勝利する。これでメンバー入りかと思いきや試験はまだ終わっていないと男がマッドポリス ビーナスを繰り出してきた…。

3話:マスターズNo.1のカーモデラー、早瀬光一に勝負を挑まれた二人(何故かこのコマでマッドポリス ビーナスがマスタングに変更されていた)。ルールはバトルレース、早瀬のマシンを倒しつつ1時間でコースを完走する事で勝利となる。次の日曜日に勝負となりキットに悩む二人は街に出る、セリカXX(マッドポリス ビーナスのベース車)に跳ねられたイサムは白バイの追跡を見てアイデアを思いつき、ラピッドファイターを使い改造バイクを完成させる。バイクをセットしたためコクピットがバイク型に変形、イサム自身もステージの投影された。スタートすると何処からかミサイルが飛んでくるが回避、ゴーストタウンに着くと早瀬のマスタングが現れる、攻防の末、行き止まりに追い詰められるイサムだったが壁を使ってターンし、ムスタングにサイドカーを打ち込みクラッシュさせ倒す、跳ね橋をウイリーで飛び越え制限時間ギリギリで勝利、晴れてメンバーズ入りとなった。
4-6話は未確認。
登場したプラモ
今ではかなり希少なアニメモデルが多い。
1話:オリジナル人型ロボ(男性型/女性型、デザイン:かがみあきら?)、タミヤ1/48日本海軍零式艦上戦闘機 52丙型、ハセガワ 1/72 アメリカ陸軍 P-51D ムスタング※バズーカタイプロケット弾装備(改造)
2話:タミヤ1/48日本海軍零式艦上戦闘機 52丙型※燃料タンクに隠しロケット弾(改造)、ハセガワ 1/72 メッサーシュミット Me262、ザ・ブルーサンダー・スペシャル※フジミ1/48ガゼル改造、リアルホビーシリーズ バルタン星人、フジミ1/24マッドポリス ビーナス
3話:改造バイク※レベルG.I. ジョー1/25ラピッド・ファイアー・モーターサイクル改造、マスタング・マッドスペシャル※バンダイ1/20フォードマスタング・コブラ/ターボ改造
総評
漫画としての良し悪しについて。
(エスパー太郎が素組のマクロスキットしか使わないのに対し)変わったキットや改造キットを使うので毎月新鮮に見えるのが本作の良い点である。
悪い点は描写がとにかく足りない点。1話が特に酷く、自壊した理由や主人公が選ばれた理由が何もなく進むし、主人公の操縦テクニックの凄さが伝わってこない。強いはずのヒロインがサポーターに回っている理由も特になく進むなど展開に不可解な点が多すぎる。
だから人気が出ず半年で終わったという訳でなく、プラモ×バトル作品はエスパー太郎があり、小学館はマクロスのスポンサーである以上、こちらは元々長期連載できなかったはず(イサムが大人気となって太郎が終わり、こちらにマクロスを出す展開もありえなく無いが…)。
よってプラモ製作を競うプラコン大作が誕生したのではと思う。(コロコロ1983年11月号で全日本プラモ写真コンテストが誌面開催されたのも関係している?)
本作の連載終了の翌月から「3D甲子園 プラコン大作(コロコロ1984年4月号~)」が開始していることから、やはりプラモ漫画の実験的な作品だったように思えてならない。
